戦い



睡眠薬と抗不安薬を飲みながらの生活が始まりました。
幸い両方ともよく効いてくれているようでした。
しかし、急行にはやはり乗れませんでした。
普通電車でも1,2両目には乗れませんでした。


電車が怖い・・・


そんな気持ちが私の中には強くありました。

早起きしての通勤も続きました。
睡眠作用の残る体を無理に起こし、会社へ通う日々。

限界が近づいていました。


そして2度目の診察の時がやってきたのです。


先生にお薬を飲んでいると電車に乗れること、
以前よりは眠れるようになっていることを話しました。

でもやっぱり苦しみ、辛さは残っている・・・。
毎日報道される事故のニュース。
映像が映し出されるたびに胸が苦しくなります。
そして決まって見る悪夢。


先生は私の話をじっくり聞いてくれました。
事故という現実が上手く受け入れられず、七転八倒している私を、
やさしく受け入れ、包み込んでくれました。


1度目の診察で1時間半。
2度目の診察は1時間。


時間をかけて診察をしてくれた後、
初めて診断名が告げられました。


「二次受傷・・・やね」



日本トラウマティック・ストレス学会のホームページによると、

二次受傷とは、
「代理受傷」「共感性疲弊」「外傷性逆転移」と呼ばれている現象の総称であり、
「外傷体験を負った人の話に耳を傾けることで生じる被害者と同様の外傷性ストレス反応」
を指す。
例えば、犯罪被害者をクライエントに持つ臨床家、
子どもが自動車事故に巻き込まれたという知らせを受けた両親、
戦争体験の取材をしているジャーナリスト、
被災者の調査をしている研究者、
職業上、悲惨な場面に曝される救急隊員や消防士などが二次受傷を負うと示唆されている・・・。


私の場合、事故に合ったわけではないけれど、
テレビの報道やネットニュースなどを通して、
事故に合った人と同じ外傷性ストレス反応が生じた・・・ということのようです。


「感性が豊かなんやね」


先生はそういってやさしく微笑みかけてくれました。


感性が豊か・・・。


先生は言葉を選んでそういってくれたのだと思います。


鋭すぎる感性。


それは子供の頃から自覚していることでした。
子供の頃から読めない本や見れない映画がありました。
必要以上に反応してしまうのです。
普通のドラマでさえも見れないことがありました。
刺激が強すぎるからです。


それはよいことであり、悪いことでもあり・・・。

事故のことに関して言えば、それが悪い方に働いてしまったようでした。


お薬の力を借りて、何とか通常の生活を保とうとはしているけれど、
私の心はまだまだ事故の衝撃を受け止めきれずにいました。






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