衝撃



私は事故列車に乗っていたわけではありません。
しかし、いつも普通に乗っている電車であれほどの大きな事故がおきたことは衝撃でした。
それは私だけの感覚ではなかったようです。
同じ福知山線を利用している友達からメールがありました。


「事故あったね。どうしよう。」
「脱線やなんて、未だに信じられへん。」


みんなみんな衝撃を受けていました。

安全だと思っていた電車。
いつもの時刻、いつもの駅。

それが一瞬にして奪われたのです。

その日から私は悪夢にうなされるようになりました。


血で真っ赤に染まった車内。
中はぐちゃぐちゃです。
シートが外れ、窓が割れ、手すりがゆがみ・・・。
その中で呆然と立ち尽くす私。


またこんな夢も見ました。


コンパートメント型の車内で、隣の人の呼吸が聞こえません。
「大丈夫ですか?」と肩をゆすると、
ポロリと頭がとれ、ごろりと転がり落ちる。
キャーと叫んで周りを見渡すと、
目も鼻も口もないマネキンのような人間が
ダラダラと血を流して私の方向を向いている・・・。



毎日こんな夢を見つづけました。



次第に私は焦燥し、灯りを消して眠ることができなくなりました。

なんともいえない胸の苦しみに、
叫びだしたいような、泣き出したいような衝動に駆られ、
でもどちらもできず・・・。

家のリビングからは福知山線の某駅と線路が見えます。
普段なら電車が通るたびにテレビの音が聞こえなくなるはずなのに、
辺りは静まり返り、それが一層私を追い詰めました。


近くの葬儀場では、事故の犠牲になった方々のお葬式が営まれ、
町全体が深い悲しみに包まれました。


町内の方も2人、亡くなられました。


生まれて初めて「死」を目の当たりにしました。

理不尽に奪われた命。

それはもしかしたら自分だったかもしれないという恐怖が、
私の苦しみを増幅させました。


私は普段、福知山線を使って通勤しています。
例えばお役所に用事があって少し遅れていたら、
あの電車にのっていたかもしれない。
体調が悪くて病院に寄っていたら、
あの電車に乗っていたかもしれない。


毎日の報道の中で、どれほど素晴らしい人々が無念のうちに亡くなっていったかも知りました。


私が死んだ方がよかったんじゃないか。


そんな考えも心の中に沸き起こりました。


私みたいなのが生き残ってしまった・・・。


そんな考えが私の頭の中を占領するようになったのです。。






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