自殺未遂


事故から2度目の春がやってきました。
桜の花が満開となり、心地よい風がほほをなでます。
仕事は順調で、電車にもほぼ問題なく乗れるようになってきました。


でも・・・。


事故の日が近づくにつれ、
テレビで事故に関する報道がなされるようになると、
私の心の中はざわざわと波立ち始めました。


漠然と沸き起こる自責の念。
生きていることへの罪悪感。
いいようのない焦りと不安。


またしても過呼吸を起こして倒れるようになりました。


事故の日が近づくにつれ、
ふさぎこみがちになり、
うつむいて歩くようになりました。


もう、何もかも駄目かもしれない。



そんな思いにとらわれ、抜け出せなくなっていきました。


世の中すべてのものが色あせて見えました。
自分が生きていることが許せず、自殺を考える毎日。


それでも「自殺しちゃは駄目だ」と思う自分もいて、
何とか踏みとどまっていました。


でも・・・。


苦しくて、悲しくて、何よりも自分のことが嫌で。
何をしても上手くいかなくて、
でも何をどうしたらいいのかも分からなくて・・・。
日々悶々と悩みながら生きていました。


そしてある日、
とうとう私は死ぬことを決意したのです。


家にあるだけの薬を集めました。
病院で処方されている薬、市販薬etc.
ありったけの薬を集めて、
何度も何度もコップに水を汲みながら、
ゴク、ゴクっと流し込みました。
何も考えずに、ただひたすら薬を飲み続けました。

とても簡単なものだけど、遺書も書きました。
紙ではなく、メールにしたため、送信しました。
身支度を整え、布団に横たわると、猛烈な眠気が襲ってきました。


さようなら、私。
さようなら、愛する家族。


生きていくことに疲れすぎていました。


もう何もかも終わり・・・。


それでいいと思っていました。
少しほっとしたような気持ちで、
私は眠りについたのです・・・。


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どのくらい眠っていたのか、
今自分がどこにいるのかも分からなかったのだけど、
今まで感じたことのない痛みを鼻に感じて目覚めました。
ストレッチャーのようなものに乗せられているようです。
鼻からチューブが通されており、
痛みはチューブのせいで起こっているようでした。


病院?


何が起こっているのか、よく把握できませんでした。
何がおきてるんだろう?
訳が分からないまま、私はまた眠りにつきました。
これが永遠の眠りになることを祈って・・・。


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どのくらい眠っていたのか。
まぶしい光を感じて目覚めました。
横には憔悴しきった顔のあきさんがいます。
側には大きな荷物が置かれていました。
病院の先生らしき人がやってきて、
テキパキと診察を行いました。


「大丈夫です」


とあきさんにいい、
病室を出て行きました。


助けられたらしい・・・。


嬉しいとも、悲しいとも思いませんでした。
一切の感情が失せていて、ただ他人事のように

「生きているのか」

と思いました。

あきさんには申し訳ないと思いました。
あきさんは何も言わなかったけれど、
その顔を見れば、
どれ程心配し、どれ程迷惑をかけたかを伺い知ることができました。


ごめん・・・。


すまない気持ちでいっぱいになりました。


ちゃんと死んでいればこんなことにはならなかったのに・・・。


遺書をメールで送信したのが失敗だったなぁと思いました。
紙に書いて机の上に置いておけば、
発見をもっと遅らせることができたのに。


私には「死ぬ」という選択肢しかなくて、
それ以外のことは考えられなくなっていました。






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