再び病院へ



9月中旬。
病院に電話しました。
先生は夏休みを取られていて、
予約がいっぱいなので診察は2週間後といわれました。
でもなぜか私は先生にできるだけ早く診て貰わなければと思っていました。
このとき自分の心が変調を来たしているとは思っていませんでしたし、
体の不調だけが気がかりでした。
本来なら、内科や外科に行くのが普通です。
しかし、どうしてもあの精神科の先生に診て貰わなければ
という気持ちでいっぱいだったのです。

受付の方に食い下がって、なんとか
「1週間後、先生のお時間が許せばお電話します」
というお返事をいただきました。


1週間後・・・


朝からそわそわと落ち着きませんでした。
先生にお時間がなければ診て貰えません。
何とか診て貰いたいと思っていました。
本当に祈るような気持ちでした。


午前9時。


病院から電話がありました。


「先生のお時間が取れそうなので、午後病院においでください」


このときの喜びといったらありませんでした。
本当に本当に嬉しくて嬉しくて仕方ありませんでした。

先生に診てもらえる!

仕事もそこそこに私は病院へと急ぎました。



久しぶりの先生は、以前お会いしたときと変わらず穏やかで、
やさしく私を迎えてくれました。
私は今自分に起きている不思議な現象と、
空っぽな気持ちについて語りました。
普段、人と話すのが億劫になっていたのに、
このときはなぜか一生懸命になって自分の状況について話したのです。

「とっても空っぽなんです」

その言葉を何度も繰り返したのを覚えています。

診察は1時間に及びました。
先生はじっくり私の話に耳を傾けてくださいました。

そしてこう聞かれました。

「死にたいと思ったりする?」

唐突な質問に思えました。


死にたい?


急いで自分の心の中を見渡してみました。
私の中に「死」という言葉ないかどうか、探しました。

「死」を選びたいという積極的な気持ちはない気がする・・・。
でも・・・。


「消えてしまいたいと思うことはあります」


そうお答えしました。
福知山線の脱線事故後、生きるということについて考えてきました。
自分が生きていていい人間なのかどうか、常に問い掛けてきました。
そして、自分は生きるに値しない人間なのではないかと思ってきました。
でも「死」を選ぶ勇気がない・・・。
かといって、生きていてもいいと自分に対して思えない。
霧のように消えてなくなれたらいい・・・
そんな気持ちがありました。


先生はうんうんとうなずき、こうおっしゃいました。


「ウツ病やと思います。
でも甲状腺の病気の可能性もあるから、
血液検査もしてみましょう」



ウツ・・・。
甲状腺の病気・・・。



どれもなじみのないものでした。
でも、自分に起きている不思議な現象に診断名がついたことで、
少し安心もしました。
病名が分かっていれば、それに対する治療法もあるからです。
漠然と不調感が続くよりは、ずっとずっと安心できることでした。


甲状腺の病気では、ウツと似たような精神症状が現れることがあるのだそうです。
血液検査である検査値の値が高ければ甲状腺の病気とすぐに分かるそうで、
先生は確認のため、血液検査を行うことにされたようでした。






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