初めの第一歩


 翻訳家への道のり


「翻訳家になりたい。」

そう思ったのはいつのことだっただろうか?
ずっと好きだった英語。テストの点がよかろうと悪かろうと、大して気にも留めず、ひたすら洋書や英字新聞を読み漁っていた高校時代。
なぜかフランス語を専攻してしまい、全く勉強する気が起こらず、無為に過ごしてしまった大学時代。
英語から遠ざかり、全く関係のない仕事をしていたお役所時代。

私の心の中にいつでも「翻訳家になりたい」という気持ちがあった訳ではなかった。忘れていたこともあった。憧れの職業でありながら、私には手の届かない夢の職業だと、諦めていた時もあった。翻訳家になるために必要であろう、相当な勉強量のことを考えるだけで、「私には無理だ」と背を向け、今の自分に満足しようと努力したこともあった。

今までの私は、いつも現状に満足していないくせに、労を惜しんだり、将来への不安や迷い、自分への自信のなさから、「このままでいい、私はそんな大それたことのできる人間じゃないんだから。」と自分に言い聞かせ、翻訳家になろうと一歩を踏み出すことが出来ずにいた。

そんな私に転帰が訪れた。あきさんとの出会いだった。「1度きりの人生、せっかくだから、やりたいことをやってみよう」そんな気持ちにさせる人だった。彼のどの言葉が、どの行動が私にそうさせたのかを説明するのはとても難しい。だが、一緒にいると、なんとなくそう思えてきたのだ。不思議な変化だった。私は元々変化を好まない人間だ。例えば新商品には見向きもしない。いつも慣れ親しんだ、おいしいと分かっているものしか買わない。自分にとって未知のものに対する恐怖心、失敗したらどうしようという極度の不安。そういうものが人一倍強かったのかもしれない。私はそんな人間だった。それがあきさんと出会ったことで、大きく変わった。新商品を次々と試すようになった。新しいものに対する「恐怖」や「不安」は、いつしか「好奇心」や「楽しみ」へと代わっていた。
そんな小さな小さな変化の積み重ねが、私を少しずつ変えていってのかもしれない。
2001年4月末、遂に私はカナダ留学を果たした。(詳しくは「カナダへの道のり」をご参照ください。)

昔からの夢−。
でも、諦めていた夢−。
自分にはそんなことできないと思っていた。お金もないし、仕事だって辞めなきゃいけないし、両親だってこれから年を取っていくし、あきさんと遠く離れてしまうし、ずっとまともに勉強してないから、英語だって全然使い物にならないし、もう年だし・・・。

そんな自分を乗り越えて、私は留学した。夢の1つを実現したのだ。

この留学が「翻訳家への道のり」の本格的第一歩となったのだと思う。もし、カナダに留学していなければ、きっと私は「自分が本当にしたいことは何だろう?」と考えながら、「翻訳家もいいけど、私は無理だし・・・」と諦め、今の生活に満足しているフリをして、そんな自分の人生に満足できないままだったに違いない。

しかし私は「翻訳家になりたい」という夢を実現してみようと思ってしまった。それが困難であり、決して楽な道ではないことを知りながら、それでもやってみようと思ってしまった。
近い将来、間違いなく途中で挫折しそうになるだろうし、もしかしたら「やっぱりなれませんでした。」という結果に終ってしまうかもしれない。
でも、とりあえず最善を尽くしてみようと思う。尽くしてみて、だめだったら、その時諦めようと思う。

実はこのコーナーは元々、「もし翻訳家になれたら、『こんな風にがんばりました』みたいなのを作ろうかなぁ」と漠然と考えていた。それまでにある程度、日記風の奮闘記みたいなのを書き溜めておいて、それを一気にUPしようかなと考えていたのだ。ところがあきさんに「後から書いたのは多分、面白くないと思うよ。やっぱり後から思い出したものって、『いい思い出』みたいになって、しんどい時の思いとかも、なんとなくキレイなものになってしまうと思う。だから、過程をそのままその時に残していった方がいいんじゃないかなぁ?」という提案を受けた。成る程・・・と思った。と、同時に、自分を追い込むいい機会でもあると思った。自分の中で決めただけなら、成功しようと失敗しようと、自分の中だけで完結する。それを外に出すことで、否応なしに「成功しなければ」という気持ちが強くなる。自分の中だけで完結する訳にはいかなくなる。それは多分私にはプラスに働くのではないかと思う。

これからどのくらいかかるか分からない。最低2年半・・・と本人は思っている。これからはじまる、翻訳家への長い道のりを見守っていただければと思う。


2003年4月2日






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