【正社員2】



正社員としてソフトウェアの会社で翻訳のお仕事を始めて1年が経ちました。
当初、将来的にはフリーランスの翻訳家として独立する・・・ということも考えていましたが、
今はとりあえずこのままの状態で働き続ける方向でいきたいと思っています。

留学から帰国後、しーちゃんはほとんどずっと、医薬業界で翻訳のお仕事をしてきました。
副作用に関するレポートや移植に関する文献、導入と導出に関する資料など、
内容は多岐に渡っていたけれど、何年かやっているうちに、
医薬英語にも慣れ、知らない単語でも、接頭語や接尾語を見るだけで、
「これは血液関係の疾患の名前だな」とか「これはお薬の名前だな」
と分かるようになっていました。

就職活動も医薬業界を中心に求人を見ていたのですが、
翻訳に特化したお仕事というのがない・・・。

英語を使ったお仕事というのはありましたが、それでさえ、
医療系の資格(医師・薬剤師・獣医師・看護士など)を持たないしーちゃんは
書類選考で落とされてばかりいました。

そこで、「翻訳」という希望だけ残し、「業種は問わない」という条件に変更。
再度募集案件を探したところ、ひっかかってきたのが今の会社です。

ソフトウェア・・・しかもかなり特殊な業界のものです。
専門のエンジニアさんなどが使われるもので、
一般の方の目に触れることはおそらくありません。
たまにテレビ番組などで「最先端の技術でこんなことができます」
と紹介されているようなソフト。

面接に通り、あとは私がウンと言えば内定・・・というとき、
あきさんに「本当にその業界でいいの?」と聞かれました。
何も知らない世界のことを翻訳しなければならないのです。
当然の心配だったと言えるでしょう。

私自身は「翻訳のお仕事」ということで舞い上がっていました。
やっと掴んだ職。
これを逃したらもう他はないかもしれません。
初めて医薬業界に飛び込んだときも、最初は苦労しました。
でも1年ほど経った頃には、何とかなっていたし・・・。
もう一度あの苦労をするのは大変だけど、この職を逃したくない・・・。

そう思って、結局そのお仕事に決めました。

入ってみると・・・本当に、本当に、本当に大変でした。(笑)
右も左も分からないとはこのことで、
英語はもちろん、日本語自体も分からない。(^^;

社外向けに行っているソフトの説明会に参加させてもらい、
教室の片隅でソフトの勉強をしました。
基本的な使い方は分かったのだけれど、
その元となる基本的な知識がないので、

「このボタンを押すとAということができます」

ということは分かったけれど、
そのAはなぜ必要なのか、どう使っていくのか、
そもそもAとは一体何なのか、といったことが分からない(^^;
なんてことが度々起こりました。

本を読んだり、人に聞いたり、ネットで調べたり、
ありとあらゆる方法を使って勉強しなければなりませんでした。
それさえ最初は何をどこでどうやって調べていいのかも分からず、
検索語を特定するだけで時間がかかったりもしました。

英語に関しては、全く初めての分野なので、
全てが「1から出直し」という感じでした。
簡単な単語なのだけれど、
「この業界ではこういう意味で使う」
といった類のものはわんさかあるし、
表現でも
「こういうときはこういう」
といったものが沢山。

既に出来上がっている英語版マニュアルを日本語版と照らし合わせながら読み、
単語帳を作りながら頭に叩き込んで行く、という作業をコツコツと繰り返しました。

一口にマニュアルといっても、
操作編、例題編、○○編、うんたら編、かんたら編とたくさんあって、
それぞれが千ページ近くあります。
読みこなすだけでも大変で、毎日ウンウンいいながら奮闘していました。

でも、それらは自分のために必要なお勉強の部分であって、お仕事は別にあります。
最初に渡されたのは、千ページ近くある新規マニュアルを2ヶ月で翻訳(英訳)しなさい、というものでした。

毎日毎日、遅くまで残って翻訳し続けました。
1行訳すのに1時間以上かかるなんてこともしばしば。
しんどいなんて言ってるヒマもなくて、毎日とにかく格闘していたという感じです。

今振り返ってみても、あの頃は本当によくやったよなぁと思います。
その半面、「あんな英訳出してしまった」と冷や汗タラタラ。(笑)
うーん、知らぬが仏とはこのことかしらん。

1年経ってみて、基本的な単語は身に付きました。
ソフトの基本的な操作もできるようになりました。
技術的な詳しいことはまだまだ分からないけれど、
開発者さんや技術者さんに聞きに行って、
図を書いてもらったり、実際にソフトを動かしてもらったりして、
書かれている日本語の意味を理解できるようになってきています。
普段は寡黙な開発者さん&技術者さん達ですが、
どの方も、「どこが分からないのかもよく分からない」
という状態の私の説明を聞き、的確に説明してくださるので助かっています。

技術的なことに関しても、翻訳に関しても、
まだまだ勉強しなければならないこと山積みですが、
この1年でとりあえず少しは進歩したかなぁという感じです。
少なくとも1年前よりはいい翻訳ができるようになったと思います。

医薬翻訳に未練がないか、と言われたら、
正直、まだ未練があるのだけれど(笑)
まま、今のこの業界も悪くないかなという気がしてきています。

最初は本当に本当に大変だったけれど、誰だって「初めて」はあるのです。
最初からプロだった人なんて一人もいません。

話は少し飛びますが、私が英語を好きになった理由のひとつに

「英語は努力を裏切らない」

というのがあります。

私には才能らしい才能というのはありません。
物覚えは悪いし、応用力はないし、気も効かない。

もしひとつだけ私に才能があるとしたら、それは

「努力し続けられること」。

英語は努力したらしただけ身になります。
物覚えが悪いので、ひとつの単語を覚えるのに、人の2倍、3倍かかりますが、
それでも諦めずに覚え続けているうちに身に付きます。

「英語は努力を裏切らない」

のです。

今の業界のことを身に付けているスピードは、多分人よりも随分遅いと思います。
何度も同じことを聞くこともありますし、何度も同じページを読み返すこともあります。

でも、そうした努力は必ず報われます。
1年でそれが少し実感できたような気がするのです。

だから、このままもう少しこの業界で頑張ってみようと思います。
いつか、この分野のプロと呼ばれる人材に成長したい。

それが今のしーちゃんの目標です。
今はまだまだ夢のまた夢だけど・・・。

正社員に就職できた!と思って喜んでいたけれど、
それはひとつの通過点であって、ゴールではありません。
道はこれからもまだまだ続くのです。

日々精進、日々成長・・・ですね♪


これからも頑張っていきたいと思います。





(2009.3.18)






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